【芝浦電子TOB】2025年8月 ここまでのまとめ

TOB 芝浦電子TOB

争点の整理

まずは今回の主な関係者を簡単にまとめます。

  • 芝浦電子(Shibaura Electronics)
    温度センサで知られる日本の電子部品メーカー。世界的にも技術力の高い企業です。
  • 国巨(Yageo/台湾)
    台湾の大手電子部品メーカー。芝浦電子を買収して事業の幅を広げたいとしています。
  • ミネベアミツミ(Minebea Mitsumi/日本)
    日本の電子部品メーカー。国巨による買収に反対し、「白騎士(味方)」として芝浦電子を支援する姿勢を見せています。

今回の争いは、「どちらが芝浦電子を買うか」という単純な話ではなく、
外国企業による日本企業の買収に対する規制(外為法) や、
どちらが芝浦の将来にふさわしいパートナーか という点も大きな焦点になっています。


2025年8月以降の主な動き

日付出来事内容・ポイント
8月上旬国巨とミネベアのTOB期間が再延長外為法の審査が終わらず、買付け期間を延ばす動きが続く。
8月14日ミネベアがTOB価格を6,200円に引き上げ国巨と同じ価格にそろえ、最終局面での勝負を狙う。
8月下旬双方ともTOB期限をさらに延長明確な決着は出ず、長期戦に突入。
9月〜現在審査結果待ちの状態が続く外為法の審査が通るかどうかが最大の焦点になっている。

現在の状況と見えてきた構図

ここ数ヶ月の動きを見ると、TOB争いは「価格競争」よりも「実行力」の勝負に変わってきています。

1. 外為法の審査が最大のカギ

国巨は買収のために日本の政府に申請を出していますが、
外国資本による買収には厳しい審査が必要なため、時間がかかっています。
この手続きが遅れれば、TOB自体が成立しない可能性もあります。

ミネベアは日本企業であるため、規制面では有利とみられています。
つまり、「誰が早く、確実に買収を完了できるか」が焦点になっているのです。

2. 白騎士 vs 敵対的買収

ミネベアは「芝浦を守る立場」を強調しています。
技術や雇用を守り、長期的な成長を支えるという姿勢です。
一方の国巨は、世界規模での事業拡大を見据えた強気の買収姿勢を崩していません。

どちらが芝浦電子の未来にふさわしい相手か、
株主や取引先、従業員も注目しています。

3. 株主の判断が分かれる

芝浦の株主にとっては、単純に「高い価格で売る」か、
「長期的に会社の価値を伸ばすパートナーを選ぶ」かの選択になります。

ミネベアは日本企業同士の安定を重視、
国巨は価格とスピードで勝負、という構図が続いています。

4. 長期戦の様相に

この夏以降、TOB期限の延長が何度も行われています。
規制審査が長引いていることもあり、決着はまだ先の見通し。
株価もこのニュースに連動して上下する状況が続いています。


今後の注目ポイント

  1. 外為法審査の結果発表
     → 承認が下りれば、国巨のTOBが一気に進む可能性。
     → 不承認ならミネベアに有利。
  2. 株主の最終判断
     → どちらの案を支持するか。芝浦の取締役会の意見も注目。
  3. 価格の再引き上げ
     → さらに買付け価格が上がる可能性も。
  4. 最終的な買収成立または破談
     → どちらも成立しないまま終わるシナリオもあり得ます。

まとめ:決着はまだ先、注目は続く

芝浦電子をめぐるTOB合戦は、
日本企業と外国企業の攻防、そして政府の審査という三つ巴の構図になっています。

8月以降は明確な決着こそ出ていませんが、
両社とも引く気配はなく、「静かな我慢比べ」 の状態です。

今後は外為法の結果が出るタイミングで大きく動く可能性があり、
投資家にとっても引き続き注目の案件となりそうです。